為替デリバティブの巨額損失から破綻に至った技術系ベンチャー
チャイナプロジェクトの樋笠です。iphoneに部品が採用されて中国の製造拠点も展開したマザーズ上場のシコー株式会社。超小型モーターの開発企業として順風満帆だったハイテクベンチャー企業でしたが、2007年の為替デリバティブ取引の巨額損失によりつまずき始めました。
2008年12月期には23億円超の当期純損失を計上。今年8月、経営破綻となり民事再生申請となりました。支援の名乗りを上げたミネベアとも、債務不履行を理由にスポンサー契約を解除したことが11月14日に発表されました。以下、9月5日当時のJcastニュース記の事から引用します。
2008年12月期には23億円超の当期純損失を計上。今年8月、経営破綻となり民事再生申請となりました。支援の名乗りを上げたミネベアとも、債務不履行を理由にスポンサー契約を解除したことが11月14日に発表されました。以下、9月5日当時のJcastニュース記の事から引用します。
携帯電話のバイブレーター用の精密小型振動モーターを開発するなど携帯電話向けの受注で業績を伸ばしてきた「シコー」が、東京地裁に民事再生法の適用を申請して破たんした。負債は2012年7月末時点で約85億945万円。9月11日には、東証マザーズを上場廃止になる。
小型振動モーターで実績を積んだ同社は、米アップルのスマートフォン「iPhone」に採用されたことで2010年12月期には過去最高の約140億円の売上高を計上したが、そのアップルに見放されて資金繰りが悪化した。
■アップルからの受注で10年12月期には過去最高の売上高
シコーは1974年6月に創業。携帯電話のバイブレーター用の精密小型振動モーターを開発した「マナーモード」の生みの親で、携帯電話向けの受注で業績を伸ばした。中国にも進出し、同社が開発と設計を担当。製品は中国の子会社が生産した。
アップルからの受注で10年12月期には過去最高の約138億円の売上高を計上したものの、同社はその後もアップルからの大量受注に備えて中国・上海工場で労働者を大量に確保していた。
ところが、11年9月にアップルが「iPhone4」をモデルチェンジした際に、同社は受注を打ち切られてしまう。上海工場は大規模なリストラを余儀なくされ、その結果、11年12月期の売上高は104億5700万円にダウン、最終損益は31億6900万円の赤字に転落した。
最近では量産技術や価格競争で、中国や韓国勢に激しく追い上げられていたこともある。
創業者でもあるシコーの白木学社長は、いわゆる「技術屋」で開発一筋の人。とはいえ、為替デリバティブに上海工場の人件費の上昇と、いずれも経営陣が先行きを読み間違えたことに変わりはない。
■アップル株は高値で推移